扶養の考え方には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
【税制上の扶養】(令和5年9月現在)
税制上の扶養とは、被扶養者の年収が103万円以下の場合に、被扶養者を扶養する人の所得より一定の金額を控除できる制度です。
◆ 103万円の壁 ◆
本人の給与収入が年103万円以下であれば、配偶者、子供といった立場関係なく本人に所得税は生じません。
ただ、この額を超えると、本人に所得税が発生し、配偶者以外の家族であった場合、扶養控除の対象外となり、扶養している者の所得税が増額されます。
これは16歳以上の子供が年収103万円以下であれば、扶養者である親は、扶養控除を受けることができますが、103万円を超えた時点で扶養控除を受けることができません。
【103万円の壁のときは基本的に交通費を含まない】
税制上の扶養では交通費は年収に含みません。交通費は税制上では所得と見なされないためです。
注意)公共交通機関を使った交通費の非課税限度額は月15万円です。
非課税枠の15万円を超えた額は年収に含まれます。
◆ 150万円の壁 ◆
通常、配偶者には、他の家族と違い、「配偶者控除」というものがあります。
加えて扶養者には、配偶者の給与収入が103万円を超えた場合でも150万円までは、「配偶者特別控除」により配偶者控除と同額の控除を受けることができます。150万円を超えると段階的に減少していき、201万円を超えると配偶者特別控除を受けることができなくなってしまいます。
【社会保険上の扶養】(令和5年9月現在)
家計を主に支える扶養者が加入している社会保険(健康保険・厚生年金)のうち、健康保険の被扶養者になることをいいます。
◆ 130万円の壁 ◆
配偶者の場合、健康保険の扶養であれば、国民年金の保険料負担はなく、第3号被保険者になります。扶養になるための条件は、年収130万円未満であることです。
【130万円の壁は交通費を含む】
社会保険上の扶養にかかわる130万円の壁の場合、交通費は収入として扱われます。
交通費を、定期券、バス回数券等の現物で支給されている場合や、経費として実費精算していても、金額換算をしてそれらを年収に含めて計算することになります。
以上の事を勘案してライフプランを立ててください。